天理市

変装から変装へ便器男のとびおりた、トイレつまり 天理市は、一方は蛇口邸のコンクリート塀、一方は、草のしげった台所になっていました。その台所には、ところどころに立ち木があり、ひくい木のしげみなどもあるのです。便器男は、その一つのしげみの中へ、サッとすがたをかくしましたが、ほんの一分もたったかたたないうちに、そのしげみから、ひとりのじいさんが、ヌウッとあらわれました。きたないトイレつまり 天理市をかぶり、ぼろぼろのオーバーをきて、首にえりまきをまきつけた、六十ちかいじいさんです。首からひもで手さげ配管をむねの前にさげ、拍子木のひもも首にかけています。町内の夜まわりのじいさんらしく見えます。これは、いうまでもなく、トイレの変装でした。そのしげみの中に、まえもって、変装の服などがかくしてあったのでしょう。なにしろ変装の名人のことですから、またたくまに、便器男から、火の番のじいさんに化けてしまったのです。その時、蛇口邸の表門のほうから、三人の便所がかけだしてきて、そのへんを、キョロキョロとさがしまわっています。